その10 地元民憩いの場・デヒワラビーチ
2023年10月19日
ランチの帰りに寄り道をしながら一旦ホテルに戻った。がらんとしたリビングスペースには気だるいクラシック音楽がかかっている
私が宿泊した部屋はなんとも鍵がかかりづらくついに一度も自力で開錠することはできなかった
最終日になって、やっと現地の友人Sさんと数日ぶりに連絡がとれ、コロンボ最後の食事に付き合ってもらうことになった。私がコロンボで一番好きなレストラン・ヌガガマにやっといけるかなと思ったが、友人が提案してくれたのは地元民の憩いの場・デヒワラビーチ。ウェサックポヤデーを名残惜しむジモティがパラパラと集っていて、とてもよい雰囲気。海の家のような簡易的なカフェでフライドポテトとスプライトを注文し、青春気分で中年二人、おしゃべりを楽しんだ
「帰りのエアインディアはデリーでのトランジットが12時間だよ」「えー、信じられない!」「やっぱりシンガポール航空が最高だよね」などなど。この友人にはキャンディの新しい先生を紹介してもらうなど今回も本当にお世話になりっぱなしだった。この場を借りてお礼を言いたいと思う
今夜は深夜2時50分の便でスリランカを発つ。市内から空港までは通常はハイウェイを使って1時間もかからないのだが、今夜はウェサックポヤデーの翌日だから予定より1時間半早くホテルを出た方がいいとの助言を受け、早々に出発する。ホテルから空港までの道すがら、町のあちこちで祭りの余韻が感じられ、思わず感傷的になってしまう
早くまた来られますように、と祈りながらエアインディア機に乗り込んだ
コロンボを出発して経由地のデリーには、朝6時半頃に到着した。ここから鬼のようなトランジットが待っている。コロナ禍で空港ラウンジもほとんどが閉鎖中とあって、はたしてどうやって12時間を過ごすか。日本を発つ前から懸念事項であったため、いろいろと時間配分を考えていたのだが、思いもよらぬ足止めを食らうことになる
乗り継ぎ便の搭乗手続きが始めるのは出発の6時間前とのことで、何もない乗り継ぎカウンターの前でひたすら待機しなければならなくなったのだ
どっと疲れが押し寄せるなか、とりあえず一番寝やすそうなイスをキープして、空港wifiのパスワードを取りに行った。読まずにとっておいた原田マハと西加奈子の本を夢中でめくっていたら、お昼の12時近くになっていた。突如、斜め前に座っていたスペイン人と思われる女性がカウンターへ向かい、しばしの交渉の末なんと通過に成功。私もそれに続いて、どう交渉したのか忘れたが、なんとか関門を突破した。晴れて自由の身である
しかしながら、乗り継ぎカウンター前の狭い空間に閉じ込められたのは初めての経験だった。デリーでの乗り継ぎは要注意と心の忘備録にメモをした
とにかくどこかでシャワーを浴びたかったので、事前に下調べしておいたシャワーコーナーへ向かう。“HOTEL”の矢印通りに進むと、少々割高だがとても清潔なシャワーにたどり着ける
食事を済ませて、早々に搭乗ゲート前に。タイミングを見計らっていたかのように、キャンディのS先生、コロンボの友人・Sさんほか、今回は訪問できなかった師匠ことSさんからも続々とメッセージが届いた。「帰り道もどうぞ気をつけて」「次の滞在を楽しみにしてるよ」「神のご加護がありますように!」など、皆さんのあたたかい言葉に胸がいっぱいになる。「また近々お世話になります!」とそれぞれに返信。次こそはヘリタンスカンダラマに滞在したいなと思いながら
スリランカ買い付け出張記 〈完〉