その4 村の極上スパイスとの出会い
2023年9月17日
新しい先生もイニシャルはSさん。私の10歳下で、ご主人と高校生の息子さんとともにゲストハウスを経営しながら料理を教えている。私はSさんのところに宿泊しながら数日間みっちりと料理修行することになった。
この時、私はすでに数人の先生に師事し6年ほどスリランカ料理を学んでいたが、Sさんは最初からどの先生とも違う異彩を放っていた。トゥナパハ(ミックススパイス)の配合、野菜の切り方、濃度の違うココナッツミルクの使い分け術などなど。そして何よりもSさんが使っているスパイスのビビットな色と香り。バリッバリの極上品だということが見てとれる。
私がそれに感激していると、「気づいてくれた? スパイスにはこだわっているの」とSさん。聞けば、近所の村でオーガニック栽培された特別なものをホールで仕入れ、自分で挽いているという。
スリランカは国をあげてオーガニックを推進している。「国内の農業をすべて有機農業にする」という政府の壮大な計画は失敗に終わったものの、コロンボなどの都市部では年々オーガニック市場は拡大傾向にある。しかし、Sさんのように家庭規模でスパイス単体にまでオーガニックを貫いている人はあまり多くないと思う。
私の情熱が届いたのか、期せずしてSさんから特別にそのオーガニックスパイスを譲ってもらえることになった。キロ単位で仕入れたので、鮮度が落ちないうちに必要な方にお譲りできたらと思っている。
その5に続く。
#CHOKKIのスリランカ買い付け出張記2023